滞仏植物記

植物のかたちを研究する学生のフランス滞在日記

防犯意識

昼頃、作業しながら考え事。ブレヒトの『ガリレイの生涯』にこういうようなフレーズがある。「汚れた手のほうが、空よりましだ」。ガリレイそのものの科白ではなかったはずだが、彼の性質を表現する言葉だったと思う。なにか信念のようなもの、やる「べき」ことのために汚名を受け入れることは自分にも出来るだろうか。だとしても、その汚れはガリレイのそれと比べたらほんのささやかなシミに過ぎないだろう。それでもクヨクヨと憂鬱になってしまう。

いずれにせよ誠実に対応することだろう。たいていの場合、杞憂に終わるのは先刻確認済みだ。少なくとも一人で異端審問を受けるわけではないはずだから。

 

* * *

 

…というように真剣に色々考えるときもあります。もちろん、なにか明らかな「不正」に手を染めたわけじゃなく、友人との約束を反故にしないといけないかもしれない…ということで少し悩みました(この記事は投稿後に加筆修正されています)。が、そんな悩みを(悪い意味で)吹っ飛ばす事態が起きました。以下、むしろ「不正」の魔の手にかかりそうになった話です。

 

夕方の5時ごろに研究に勤しんでいると謎のSMSが。

「120ユーロの決済のため、以下のコードを誤確認ください」

何のことかと慌てました。それまで現地用のSIMフリー携帯には電話会社からのSMSしか来なかったので、一瞬ローミングか何かが知らないうちに入ってたのかとか、有料の何らかのサービスにアクセスしっぱなしになってたのかとかだいぶ不安になりました。

 

結局、研究所の職員さんにもSMSを確認してもらって「なにも買ってない」ことを伝えると、おそらく架空請求的な詐欺だろうとのことでした。そういえばその前の日に知らない番号からかかってきていて、誤って掛けなおしのボタンを押してしまったのでした。その時はすぐさま切ったのですが、あとから調べてみると「警戒度80%」の要注意番号で、これまでもそういった詐欺に使われてきた前例があるようです。多分、うっかり掛けなおしてしまったときにこちらの番号が知れて、それでそういったSMSを送ってきたのだと思います。もちろん、即ブロックしました。みなさまもゆめ気を付けなされますよう。