滞仏植物記

植物のかたちを研究する学生のフランス滞在日記

Pl@ntNet: 植物学と市民科学

先日「レビューをする」などと書きました。やるからにはあるテーマについて総合的網羅的に書こうと思いましたが、今回はとても難しそうです。これから書くのはまったく網羅とは程遠い記事ですが、それでも人によっては有益なものがあるのを期待します。

 

いま滞在している INRA と CIRAD のプロジェクトで面白いものを教えていただいたのでご紹介します。Pl@ntNet という市民科学プロジェクトです。

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身近な植物を撮影し、植物を自動で判別してくれるアプリを使って情報をまとめていく…というのがその骨子です。いまどき同様のアプリはいろいろとあると思うのでそれらの比較などもしておきたい…と思ったのですが、それはまたいずれ。

 

たとえば学校(研究所)からの帰り道に咲いているこういう花を撮影し、

 

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アプリ上で選択・送信すると…

 

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「ロシアンセージ」とのこと。ラベンダーに似た草姿、ふわふわした紫の花に、灰緑色の切れ込んだ葉。確かにロシアンセージのようです。(間違ってたら教えてください。その時はこのアプリもぼくも勉強不足ということです。)

このアプリを使ったプロジェクトは現在20を数えるそうですが(それぞれの研究の内容までは今のところ追えていません。)、残念ながらアジア地域の地理学的プロジェクトはその中にはまだ無いようです。

 

それで、この記事を書こうという気になったきっかけに移ります。つまり、実際にこうした市民科学プロジェクトはどの程度「役立つ」のか?

別に役に立つことが全てではないですし、それで全く問題ない、というかそのほうが豊かな世界の実現に貢献しているなあとぼんやり思います。むしろここで問いたいのは例えば「音楽のように役に立つ」くらいの意味(イデオロギーとか広告的な役割ということではないですよ)でこういう「教育的」なアプリが受け入れられるのだろうか、ということです。もちろん、植物マニアとか愛好会的な集団はあると思います。あるいは園芸好きとか観葉植物コレクター。ですがその人たちとておそらく種同定にすべてをかけてはいないと思いますし、むしろ機械だよりではなく万巻の書と自らの鑑識眼をもって種を見極めたい、というこだわりのある人も少なくないのでしょうか。そうなるとぼくの貧弱な想像力では「夏休みの宿題」的な一過的かつ「子供向け」な活動を思い浮かべてしまうのです。

「教育的」「夏休みの宿題」「子供向け」というのもそれ自体でもちろん悪いことではありません。ですが、継続的かつ満足度の高い活動にしていくためにはモチベーションの高い参加者が重要であり、そうした潜在的な参加者を見つけるには少し間口が狭い…というか部外者に魅力が伝わりにくいのではないか?と気になってしまいます。もしかすると国や地域によりそうした「ボランティア的」な活動あるいはそもそも博物学や市民科学そのものに対する考え方が大きく違っているのかもしれず、ぼくとはこうしたアプリに対する受け取り方が全く違っているのかもしれません。

それに実際、ぼくはこれらのプロジェクトの状況を全く知らないで勝手な妄想を膨らませているだけですから無責任なものです。とはいえ、市民科学的な存在はしばらく前から気になっているので、そういったところどうなんだろうかとついつい考えてしまいます。いずれ色々な人の意見を聞きたいところです。

 

ちなみにフォローするわけではありませんが、植物の名前がぱっとわかるのは(だからどうということはないにせよ)便利ですし、なにより結構楽しいです。植物学の興味深くて楽しい、そして幅の広い展開を期待します。おすすめです。