滞仏植物記

植物のかたちを研究する学生のフランス滞在日記

ポール・アリオ

先日、素敵な装丁の本を買いました。

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PAUL HARIOT, Atlas Coloriè Des Plantes Médicinales Indigènes

1900年に執筆されたポール・オーギュスト・アリオ著『彩色図解・先住民の薬用植物』。これはそのファクシミリ版とのことです。1900年というと第5回パリ万博の年ですね。

ポール・オーギュスト・アリオ - Wikipedia

といってもアリオを知っている日本人はそれほど多くないと思われます。ぼくも知りませんでした。彼は高等薬学院で学んだ薬剤師にして藻類を専門とする植物学者だそうです。このシリーズは他にもいろいろあるようで、薬用植物以外にも高山植物や庭の観賞用植物についてまとめたものがあります(ちなみに、青い表紙の観賞用植物版は何年か前にやはりフランスで買ってました)。

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セリ科のアニスです。

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日本ではあまり薬草というイメージはないですが、スイレンも。

アニスのページには処方のようなものが載っています。ちらほらと他のページにも載っており、実際に試してみることもできそうです(未確認)。

 

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さて、そろそろ一つ白状しておこうかと思います(何も悪いことはしてません)。それはこのブログの「元ネタ」についてです。それは今夏(実質的に)閉鎖されたブログ「天文古玩」です。

 

天文古玩:

http://mononoke.asablo.jp/blog/

 

「天文古玩」はその名の通り、天文関係を中心に様々な品物を取り上げて「理科趣味」的—―いわゆる「科学ファン」とは少し違った態度で理学的な事物を愛でる趣向——な観点から考察を綴る無二のブログでした。個人的には記述の丁寧かつ慎重な態度に好感がもて、よく読ませていただいておりましたが、この夏に「店じまい」となってしまいました。ブログの主である玉青さんには感謝と労いの気持ちでいっぱいである一方、貴重な存在が一つ終わってしまったことを素直に残念に思います。

そういったわけで、このブログを始めるきっかけの一つはタイトル通り「フランス滞在」なのですが、もう一つは「天文古玩が終わってしまったので、読みたいものは自分で書いてみよう」と思い立ってのことでした。しかしそのせいかなんだか自分のブログが「天文古玩」の粗製品のように思われてならないことも……。やはり「ですます」調のせいでしょうか(いや、根本的な文才不足だろう)。反芻しながら書きやすいので好きなんですが。ですます。

いずれにせよ、このブログは2018年11月初頭までは方向修正を繰り返しながら続けていくつもりです。そのあとは最初の記事にも書いた通り、分かりません。しかし、植物学版「天文古玩」的に続けられたらなあ、とは画策しているのでぜひ興味のありそうな方に教えていただくなど今後ともよろしくお願いしたく。