滞仏植物記

植物のかたちを研究する学生のフランス滞在日記

巴里を歩く―カルチェラタン散策、デロールDeyrolleへ

 お久しぶりです。植物採取から巴里散策を経て疲労困憊し、また少し間が空いてしまいました。今回は前回仄めかしたパリ散策のことを書きます。日付は10月18日にさかのぼります。

 

前回書いた通り、今回の宿泊先はパリの学生街として有名なカルチェラタンです。ここはパリ大学をはじめとする古い大学やグランゼコール、その他研究機関が集中するフランス屈指のアカデミックなエリアであり、その名前もかつてこの地域が「各地から集った学識ある者たちが(学問上の共通語であった)ラテン語 Latin で会話する地区 Quartier」であったことに由来します。今回ホテルはパリ自然史博物館のすぐそばで、十二分にパリの知的芳香を楽しむことができました。

さて、前回「あの場所」と書いた場所は5区から西に行った7区にあります。ホテルを出て、カルチェラタンの雰囲気を楽しみながら目的地を目指します。

やがて見えてくるコレージュ・ド・フランスを超え…

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さらに歩き続けてサンジェルマン=デ=プレ教会を通り過ぎ…

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全体で30分ほど歩くとついに到着です。

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憧れの「あの場所」とは1831年創業の老舗理科教材・博物標本店デロール Deyrolle です!公式ホームページはこちら。

www.deyrolle.com

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残念ながら店内は撮影禁止のためお見せできませんが、モルフォ蝶からライオンまであらゆる標本が展示され、しかも購入可能というまさに「買える驚異の部屋」……。店内には鉱石、昆虫、鳥、哺乳類、貝類その他標本、博物学関連書籍、植物採取用具、昆虫採取・標本作成用具…とあらゆるものがそろっています。2008年に火災に見舞われほぼすべての標本が焼けてしまったそうですが、各方面からの救いの手もあり見事復活しました。それから10年経ったわけですが、非常に立派な素晴らしい空間でした。什器も博物館顔負けですし、目の前で職員さんが展翅している様子といったら…たまらん。あまりに感動しすぎて思い出しながらこの記事を書いていてもうまく言葉がまとまりません。個人的に長年訪ねたいと思っていた場所の筆頭だったので、こうして実際に訪れる日が来て本当にうれしいです。

ご興味を持った方、子供向けではありますがこんな本が日本語で出てますのでどうぞ!

www.fukuinkan.co.jp