滞仏植物記

植物のかたちを研究する学生のフランス滞在日記

あめりおれ

今朝、意味がわからないフランス語の単語がまだ微睡んでいる頭の中に浮かんできて目が醒める。ふつふつと遠くからにぎやかな声が漏れてくるようでおもしろい。これは最近フランス語になるべく触れるようにしているからだろうか。少しづつ簡単な表現を試せるようにもなってきた。これまではどうしてもコーヒーブレイクのとき「エクテ(リスニング)」の時間になってしまっていたが、話す相手ができたのがうれしい。それでもまだまだ会話としては成立しないから、気長に付き合ってくれる同僚がありがたい。そういえば昼食のときにも「フランス語が少しづつよくなってきた」と言ってもらえた。お世辞かもしれないが少なくと皮肉ではないとよいと思う。

ミーティングでは進捗を見せた。ミーティングは慣れない。彼らはつねにすごい速度でしゃべり続けているし、論理的に順を追って話そうとすると「これもこれも」と思っているうちに言葉が出てこなくなる。困った。それでもこのひと月の進展をそれなりに評価してくれたようだった。「アイディアがあって印象的な学生」というコメントはきっとお世辞かなぐさめかも知らないが、いずれにせよかなりの程度手を差し伸べてくれるので心からありがたい。ただ、真新しい環境や考えに触れてちょっと風呂敷が広がりすぎ、具体的な進め方が見えづらくなっているかもしれない。「広い視野は大事だが、時には選択的に集中するのも大事だ」ともアドバイスされたが、思えば釘を刺されたのかもしれない。そうでなくとも切実なところ、幾何学や論理学に慣れないために、具体的な進み方が分からなくなりがちである。ちょっと進んでは止まって人に尋ね、もう少し進んではまた訊いて、の繰り返しである。C'est la vie !